妊娠中の風邪には葛根湯が相性バツグン!
妊娠中の妊婦さんは免疫が低下しているために、風邪などの症状にかかりやすい状態になっています。
一度風邪などを引いてしまうと、中には長引いてなかなか治らなかったなどといった声もよく聞かれます。
そのような中から、妊娠中の風邪に葛根湯が効くとの声があったので、このページでは、そのあたりの真偽など特集したいと思います。
なぜ妊娠中は風邪をひきやすい?
妊娠すると、お腹の中に小さな赤ちゃんが宿ってくれます。
妊婦さんの体は、その赤ちゃんを通常体にないものだからと言って免疫機能が攻撃しないように母体の免疫を低下させます。
免疫機能の低下と聞くと、いろいろな病気になりやすいと考えてしまいがちなのですが、
そうではなく体に宿ってくれた赤ちゃんを守ろうと免疫を低下させるのです。
人間の体ってとても優秀にできていますよね。
赤ちゃんの為に免疫を低下させるのですが、やはりその分、風邪などを惹きやすくなっています。
妊娠中に風邪をひきやすくなるのはこういった理由からだったのです。
妊娠中の風邪に葛根湯?
妊娠中の風邪に葛根湯が効果があるとのうわさなのですが、妊娠中は風邪薬ひとつとっても、妊婦さんの体に悪影響がないかを調べる必要があります。
市販されている薬でも、「妊娠中の方はご遠慮ください」と表記されているものはとても多いのです。
葛根湯とは
漢方薬の一つで桂枝湯(桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草)に葛根・麻黄を加えたものを呼ぶらしいのですが、
処方薬もあり、また市販の液体ドリンクタイプの葛根湯もあります。
たぶん、市販されている葛根湯で一番多くの方がご存知なのはカコナールではないかなと、私は思っています。
葛根湯の効果は発汗作用や、寒気や頭痛などの緩和といわれています。
基本は漢方薬なので、薬剤と異なり、副作用なども少ないと言われています。
こういった安全性の部分が妊娠中の妊婦さんが支持されているのではないかなと考えます。
そしてネット上で妊婦さんの風邪には葛根湯が安全ですというサイトも多くあるのですが、
実はそういったサイトに関しては信頼がおけないと筆者は感じています。
というのも葛根湯の成分の中で「麻黄」という漢方が使われているものが多くあります。
この麻黄という漢方は発汗を促す効果のあるものなのですが、妊娠中に限って、
なるべく避けるべきだという成分なんです。
また、葛根湯は風邪の初期段階の症状に対する効果をメインに持っているので、早めの対処も必要になってきますね。
葛根湯が持つ風邪に対する具体的な効果
先ほども書いたように、葛根湯は風邪のひきはじめの段階にとても効果的な漢方薬です。
そんな葛根湯の風邪に対する具体的な効果というと、葛根湯を服用することで体の内部にウィルスが入りきってしまう前に体温を上げることでウィルスを弱らせることができます。
そしてウィルスが弱ると、今度は解熱を促して体温を下げてくれるという効果があると言われています。
葛根湯はどんな人に相性が良くないのか
葛根湯にはこのような働きがあるため、すでに風邪が悪化してしまっている場合や、発熱が発生して汗をかいてしまっているような状態では逆効果になるとも言われています。
また、妊婦さんにとって葛根湯は風邪のひき始めには効果的な薬になりますが、喉からくるタイプの風邪とは相性があまり良くないと言われています。
それに加えて妊婦さんにお勧めの風邪対策方法とは言っても、漢方薬は個人によって適正が変わってくるため、合わないとか効果がないと感じる方もいるようです。
・葛根湯の場合は
・普段から体温が高い方
・良く汗をかく方
・胃腸が弱い方
・体力に自信がない方
このような方にはあまり効果的では無いとも言われています。
逆に、こういったことに該当しないのであれば、妊娠中の風邪のひき始めにはとても相性が良い漢方薬だと言えるでしょう。
葛根湯に含まれている主な生薬
- 葛根(かっこん)
- 麻黄(まおう)
- 桂皮(けいひ)
- 芍薬(しゃくやく)
- 甘草(かんぞう)
- 大棗(たいそう)
- 生姜(しょうきょう)
「妊娠中の風邪=葛根湯」とは限らない?!
葛根湯は、普段処方されるような風邪薬などに比べて妊婦さんへの体の影響があるとされる成分が圧倒的に少ないのはメリットです。
確かに妊娠中や授乳中のときの風邪の時に処方されることが多い漢方薬であることには間違いありません。
しかしながら妊娠中の風邪薬=葛根湯というわけでもないようなんです。
どういうことかというと、基本的に病院に行ったときにはお医者さんの判断で
妊婦さんの体力や妊娠の経過、胎児の様子などを総合的に見た上で処方されます。
確かに、妊娠中の風邪に葛根湯が処方されたという方は多いため、
妊婦さんの口コミから妊娠中でも安心。という話で広まったのではないかと考えられます。
ですが、実際のところは、葛根湯を製造、販売している漢方の製薬メーカーの『ツムラ株式会社』では
葛根湯を妊娠中に服用する時は、お医者さんや薬剤師、登録販売者に相談するようにしてください。という注意書きがされています。
これは、妊娠中の体の状態によっては副作用を起こしてしまう可能性があることも完全に否定することはできないからです。
葛根湯にはどんな副作用があるの?
葛根湯には場合によっては副作用が発生することもあるようです。
具体的な副作用としては、
- 食欲不振
- 吐き気
- 発疹
などがあるようです。
強制的に発熱、発汗をしてウィルスを撃退するという働きがあるため、
妊娠初期の体調が不安定な時期は葛根湯は避けた方が良い体質の方もいらっしゃるようです
このように自己判断しにくい要素が葛根湯にはあるため、
自分の判断で市販で葛根湯を買って服用する事はあまりお勧めされていません。
葛根湯の効果的な飲み方
妊娠するまで漢方薬を飲んだ事はほとんどなかったという方も中にはいらっしゃるかと思います。
そこで、妊婦さんの葛根湯の効果的な飲み方について紹介したいと思います。
葛根湯を服用する際は、食事の前もしくは食事中、もしくは比較的お腹が空いている状態で飲むのが効果的です。
お腹の中にたくさんの食べ物が入っている状態だと、
葛根湯の有効な成分がうまく吸収されなくなってしまう可能性があることが理由なんだそうです。
そして、実際に服用する際は冷たい水ではなく人肌以上の暖かさの白湯(さゆ)に溶かして飲むと葛根湯の成分が効率よく体に吸収されるそうです。
妊娠中の風邪で葛根湯を服用する場合は、量をたくさん飲み過ぎないように
もっとも効果的な飲み方で用法と用量を守って飲むことが大切なんですね。
- 食事と食事の間の空腹時に飲む
- 白湯(さゆ)でひと肌程度の温度で溶かして飲む
この飲み方を意識してたくさん飲まなくても効果を感じられるようにしましょうね。
葛根湯を服用する際に気をつけたいこと
妊娠中の方でも中には葛根湯を服用しない方が良い場合があるというお話をさせていただきました。
お医者さんにきちんと診察してもらった後で処方された場合は、安心して服用することができます。
しかし気をつけていただきたいことがあります。それは葛根湯を長期間飲み続けることです。
このページの上の方で『妊娠中に風邪をひきやすくなる理由』のところで
免疫力を低下させる母胎の仕組みについてご説明しました。
風邪に限った話ではないのですが、病気にかかるとお熱がでますよね。
これは、免疫細胞と免疫システムが熱を出すように命令することでウイルスを弱らせて
免疫細胞のNK細胞やヘルパーT細胞がウイルスを倒しやすくなる『援護射撃』のためなんです。
こういった熱を、反応熱といいます。
その逆に、ウイルスを倒してしまったら、熱はできるだけ早く下がってくれなければ体力の回復に良くありません。
このように、ウイルスを倒す前と倒した後では、熱の種類が違っていて、正しい熱の対処法とタイミングがあります。
葛根湯が、風邪のひき始めに良いと言われるのは、ウイルスを弱らせるため熱を上げることでウイルスを弱らせて治りを早くする働きがあるからなんですね。
また、先ほど『用法と用量を守って飲み続けるのが大切』と書きましたが、
もし風邪の治りかけでお熱が下がらない場合は、先生や薬剤師に相談して
妊娠中でも服用できる解熱剤に切り替えるなど、正しい対処をしましょうね。