妊娠初期の貧血はいつもと違う?改善はどうすれば良いの?
妊娠おめでとうございます!
念願だった赤ちゃん。新しい命を授かった喜びを感じていらっしゃるかと思います。
ですが、貧血の不安や悩みを持っておられませんか?
実は、妊娠初期に貧血に悩まされる女性は非常に多く、
貧血を放置しているとくらくらする症状や不安だけではなく、
お腹の赤ちゃんにも重大な影響が及んでしまう可能性が高いというのはご存じでしたか?
女性はもともと、生理周期と共に月経血の排出があるので「貧血になりやすい」と言われていますよね。
そこでこのページでは、妊娠初期の貧血によって表れる症状で、
自分自身の貧血がどのくらい深刻なものになっているのか、
そして改善のためにはどういった点に注意しなければいけないのかといった事を中心に、
貧血改善におすすめの栄養素や摂取量、摂り方などをご紹介していきたいと思います。
まずは、妊娠初期の貧血が母体と赤ちゃんにどういった影響があるのかから一緒に見て行きましょう。
妊娠初期の貧血の影響
妊娠初期の貧血は、母体にとっては「つわり症状の悪化」が深刻化してしまう以外にも、
自律神経の乱れによる仕事や私生活への悪影響などいろいろな身体の不調を招いてしまいます。
特に妊娠初期の3週目~8週目頃の妊娠超初期症状は体調不良が主な症状になりますが、
胎盤が出来上がる15週目前後の安定期への切り替わりにおいて貧血は重大な危険を伴ってしまう可能性が高いんです。
というのも、安定期に入ると少しずつ「目鼻立ち」などが出来上がり始める赤ちゃんへの
栄養と酸素の供給に血液中の鉄分が赤血球にそれらを結び付けて赤ちゃんへと運ぶため、
この時期に女性がなりやすい「鉄欠乏性貧血」に悩まされていると、これらの働きが滞ってしまうからです。
こうなると、せっかく妊娠初期に葉酸などを摂取して
脊椎などを中心とする神経管など「身体の中枢部位」がしっかり出来上がったにも関わらず
「その後の成長継続に必要な栄養供給と酸素補給」が充分に行われなくなってしまうため奇形児のリスクが非常に高くなってしまうんです。
赤ちゃんの発達障害や脳の成長に必要なタンパク質、
そして母胎の中はわたし達が普通に行っている肺呼吸が出来ないので、
赤ちゃんは血液から酸素を受け取って細胞分裂のための
ミトコンドリアの活動が行われているので、酸素供給の不足はそのまま発達障害=奇形児のリスクにつながってしまうんですね。
そのため、なんとしてでも妊娠初期の貧血は改善しなければなりません。
では、次にこうした妊娠初期の貧血改善のためにはどういった栄養素や
ミネラルがどのくらい必要なのか、それらをオーガニックに摂ることのできる食生活について見て行きましょう。
妊娠初期の貧血改善に必要な栄養素
貧血の改善には「鉄分が必要」というのはほとんどの方がご存じかと思います。
妊娠初期の貧血を改善するには次のような栄養素が必要です。
- 鉄分
- 葉酸
- ビタミンB12
大きく分けてこの3つの栄養素が必要になります。
ただし、鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、
体への吸収力はヘム鉄の方が高いのですが、お腹の赤ちゃんの神経管を作ったり、
血液の質を良くしたりするためには、ヘム鉄の非ヘム鉄もどちらもバランスよく摂取する必要があるんです。
ヘム鉄は、貧血を改善するため赤血球のヘモグロビンに栄養や酸素を結びつけてお腹の赤ちゃんに運ぶために必要になります。
また非ヘム鉄は、私たち人間の体の中で鉄分を貯蔵して必要な時に取り出せるようにするための物質であるフェリチンを作るために必要になります。
このようにヘム鉄と非ヘム鉄どちらにも体の中でちゃんとした働きと役割があり、そのそれぞれのどちらがおろそかになってもいけないというのが鉄分なんですね。
また、葉酸は妊娠初期の場合だとお腹の赤ちゃんの神経管を作るために必要になりますが、
妊娠中は妊娠30週目頃をピークにママの体の中の血液量が
通常時のおよそ1.5倍まで増えるため、造血ビタミンと呼ばれる葉酸とビタミンB12の2つの栄養素が必要になります。
また、当然ではありますがこれらの栄養素も「必要摂取量」があり、それが足りていることが貧血改善のカギになります。
ではこれらの栄養素がどのくらい必要なのかについても一緒に見て行きましょう。
貧血改善の栄養素の必要量について
貧血を改善するためには、先ほどもご紹介した通り「必要十分な量を摂取することが大切」になります。
先ほどご紹介した鉄分、葉酸、ビタミンB12の貧血改善のための3大栄養素ごとの1日あたりの必要量をご紹介します。
- 鉄分(妊娠初期=7.5mg、安定期~後期18~20mg、非妊娠時8.5~9mg)
- 葉酸(妊娠初期=400~450μg、非妊娠時200~240μg)
- ビタミンB12(妊娠中=2.6μg、非妊娠時1.8~2.0μg)
(μgとは1000分の1ミリグラム、つまり200μg=0.2mgとなります。)
1日あたりでこのような摂取量が必要とされています。
鉄分は、妊娠中や通常時に貧血になりやすいとされている女性にとってはご存じの方も多い栄養素ではないかと思います。
ただし、妊娠初期が通常時よりも鉄分の必要量が少なく設定されているのは、
通常時と違って生理が止まっているため経血の出血分が不要になるからです。
葉酸とビタミンB12が不足すると悪性貧血に!
一方で、葉酸とビタミンB12は、共同作業で妊娠中に増えて行く血液を作るために必要な栄養であり、両方とも妊娠前と比べて必要摂取量が多くなっています。
ちなみにビタミンB12が不足すると、妊娠中でも通常時でも巨赤芽球性貧血(悪性貧血)の原因になります。
悪性貧血というのは、主な症状として耳鳴りや身体の節々の痛み、舌炎(ぜつえん)意識障害などを伴います。
ビタミンB12が発見される以前は、回復する手立てがなかったため
悪性貧血と呼ばれるようになりましたが、現在ではビタミンB12を補給することで改善されるためサプリメントなどでも改善することが出来るようになりました。
しかしながら、妊娠中は悪性貧血になってしまうこと自体がお腹の赤ちゃんへの影響が大きく、
奇形児や死産の原因になるため、ビタミンB12と葉酸を両方ともしっかり摂取することが大切になるんですよ。
ビタミンB12と葉酸、鉄分を摂るためのレシピ
ビタミンB12や葉酸、鉄分などをバランスよく摂るには、和食の一汁三菜のメニューを食べるように心がけると良いでしょう。
また、海産物のしじみやカキなどもビタミンB12を豊富に含んでおり、ほうれん草と併せてお味噌汁や和え物など熱を加えたとしても煮汁と一緒に食べられる調理法で食べるようにすると良いですよ。
というのも、葉酸は水溶性ビタミンB群に属する栄養素で別名を「ビタミンB9」とも呼ばれるものだからです。
また、妊娠中の鉄分の摂取は病院での鉄剤を使って行う場合は、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方を摂取出来るよな鉄剤を処方してもらうのがおすすめです。
妊娠初期の貧血対策のまとめ
妊娠初期は、お腹の赤ちゃんのための子宮の居心地の良さなど赤ちゃんが安心して育つために胎盤を始めとした準備を整えるための期間です。
胎盤を作るにもバランスの良い栄養補給が大切なことは言うまでもありませんが、特に妊娠中は血液の質を良くするための栄養補給が大切になります。
タンパク質は白米でも補給することが出来ますが、緑黄色野菜や鉄分も非ヘム鉄とヘム鉄をバランスよく補給するためにお肉やお魚なども食べるようにして、パンやパスタ、ご飯などの炭水化物に偏らない食生活を実践して行きましょう。
毎日のことですから意識するのも大変とは思いますが、出来る範囲で意識して元気な赤ちゃんを出産できると良いですね。