妊婦さんと骨粗しょう症には関係がある?
妊娠中は多くの栄養を取らないといけないのは当たり前なんですが、
その中でもカルシウムにクローズアップしてこのページで特集していこうと思います。
妊娠中の妊婦さんの中にはすでに産婦人科や病院で骨密度の検査をされた方もおられると思います。
カルシウムというのは骨を作るもとの成分なのはご存じの通りですが、
不足すると骨量が減って骨折などになりやすくなる骨粗しょう症を引き起こしてしまいます。
妊婦さんのカルシウム不足は妊娠高血圧症を防ぐという意味合いも持ってきます。
また、赤ちゃんの方向から妊婦さんのカルシウム不足を見ると、
ママと共に骨粗しょう症や乳幼児期の夜泣きなどにもつながる危険性が出てきます。
このページでは、妊婦さんのカルシウム不足が、母胎側と赤ちゃん側でどのような影響があるのか。
そして、妊娠中にカルシウム不足にならないために、どのような食べもので摂ったらいいのかなどを詳しく見て行きたいと思います。
なぜ妊娠中の妊婦さんはカルシウム不足になるの?
妊娠していなくとも女性はカルシウム不足で骨粗しょう症になりやすいと言われています。
カルシウムというのは、骨や歯の成分の99%が使われており、残りの約1%が血液や体液にふくまれています。
その、1%のカルシウムが赤ちゃんのためにスムーズに運ばれることになります。
そして血中カルシウム濃度が下がると、それを保つために浸透圧で骨からカルシウムを溶かして補てんすることになります。
それが、妊娠中のカルシウム不足で加速してしまうと、妊婦さんが骨粗しょう症へと結びついてしまうんですね。
カルシウム自体は体の中で生産することができないので、食事などで補給していくことになります。
カルシウム=骨というイメージが強いと思いますが、妊娠中に意識したいのは約1%の血液の中のカルシウムなんです
この血液の中のカルシウムというのは、先ほどの繰り返しになってしまいますが、不足することで骨や歯などのカルシウムから補給されていきます。
また、お腹の中の赤ちゃんへの栄養分として1日150mgもの量のカルシウムを必要となります。
赤ちゃんの骨や歯など大事な組織を作る上でも必要不可欠です。
このようにカルシウムは妊娠中には特に必要になる栄養素の一つであって、
妊婦さんのためにもお腹の中の赤ちゃんのためにも両方の意味で重要になってくるんです。
また、妊娠中のママにとっては、出産時の赤ちゃんを産むために多くの出血をするし、体力も低下するので、
なおさら骨粗しょう症のリスクが自然と高まっていきます。
このタイミングで骨粗しょう症を発症する方も少なくはないのです。
運動不足や出血など回避しようがないので、出産前にしっかりとした栄養を取れているかが大事なポイントになります。
妊娠中からしっかりとカルシウム対策を行っていきたいですね。
妊娠していない通常の状態で、成人女性の1日当たりのカルシウムは650mgも必要だと言われているのですが、
妊娠時期にカルシウムと鉄分、葉酸を進んで摂取してくださいと産婦人科医の先生に言われるのもうなずける量ですよね。
この重要な時期にカルシウム不足があると、育児中にイライラをおこしやすくなったり、肩こりや腰痛などの原因になるばかりか、
出産後の骨密度の低下や赤ちゃんの骨や歯をもろくすることにもつながりかねません。
そして妊婦さんが妊娠中に注意しなければならないものとして妊娠高血圧症があるのですが、ここにもカルシウムは深くかかわってきます。
妊娠高血圧症になると子宮や胎盤に届く血液の流れが悪くなって、赤ちゃんに必要となる栄養や酸素などが不足する場合があるんです。
もちろん予防にカルシウムだけ気を付けておけばいいのではないのですが、カルシウムやたんぱく質の不足、そして塩分の摂りすぎなどは
ぜひ気を付けていってもらいたいものなんですね!
妊娠中のカルシウム不足の赤ちゃんへの影響
妊娠中のママにとってカルシウム不足は起こりやすいものですが、やっぱり気になるのは赤ちゃんへの影響はどうなるの?
というところではないでしょうか。
妊娠中にママがカルシウムを充分に摂れないことで赤ちゃんに起こる影響は・・・
- 産後に夜泣きの多さにつながる
- 首の座りが遅くなる
- 出生後の成長曲線が思わしくない状態に・・・
このような影響が出る心配があります。
また、ママの身体には骨粗しょう症以外にどのような影響が出るのか見てみましょう。
妊娠中のカルシウム不足のママの身体への影響
妊娠中のカルシウム不足のママの身体への影響はいろいろなものがありますが、まずは妊娠中に起こるものと産後に起こり得るものの2つの要素に分けて行きたいと思います。
カルシウム不足による妊娠中の影響
- 骨粗しょう症
- 腰痛
- 肩こり
- 妊娠中のイライラ・ストレス
- 妊娠中高血圧症候群
妊娠中のカルシウム不足の産後に起こる影響
- 骨粗しょう症
- 腰痛
- 恥骨痛
- 身体の全体的なしびれ・痛み
- 産後うつ・育児ノイローゼ
このような影響が考えられます。
妊娠中にカルシウムがちゃんと摂取できていないと重大事につながってしまうんですね。
ですが、ここで忘れてはいけないのが『ただカルシウムを摂れば良いというものではない』ということなんです。
というのもカルシウムはマグネシウムとビタミンDがないと、吸収されたり、身体の中で有効な働きをしたり、と言ったことができないミネラルなんだそうです。
なので、もう少し詳しく『カルシウムと一緒に摂りたいミネラル』について見て行きましょう。
妊娠中にカルシウムと一緒に摂りたいミネラル
妊娠中にカルシウムが不足すると、妊娠中、産後を通じて発症する骨粗しょう症を始めとして、
妊娠中高血圧症候群や腰痛、イライラやストレスなどいろいろな影響があることが分かりました。
ですが、それを調べているうちにさらに分かった事があります。
それは先ほども軽く触れましたが、カルシウムはマグネシウムやビタミンDと一緒に摂らないと、吸収されたり健康のために有効な働きをすることができない。ということなんです。
そこで、両方を一緒に説明して行くと話が複雑になってしまうので、マグネシウムとビタミンDをそれぞれ別に見て行きたいと思います。
マグネシウムとカルシウムの関係
マグネシウムは、身体の中にカルシウムを吸収させるために必要不可欠なミネラルなんだそうです。
というのは、カルシウムが身体に吸収されるのは、
各細胞の細胞壁にある『カルシウムチャンネル』と呼ばれるカルシウムを受け入れる部屋があるのですが、
その部屋のカギはマグネシウムが持っているということなんです。
また、マグネシウム自体も身体の中で大切な働きがあって、いろいろな神経伝達に働きかけて朝に目が覚めたり、
便意を感じたり、お腹が空いたと感じて食べ物が欲しくなるなどの働きもマグネシウムがコントロールしているんだそうです。
このように、カルシウムを吸収させるだけではなく、大切な働きたくさん持っているマグネシウムなのですが、
その1日当たりの摂取量は成人女性で340mg前後とされています。
カルシウムの1日当たりの摂取量が650mgから700mg前後とされているので、カルシウムとマグネシウムを健康に生かすためのバランスは・・・
カルシウム2 : 1マグネシウムということになります。
カルシウムとマグネシウムの両方をバランス良く摂らないと、健康な子育てや日常生活が送れないということになってしまうんですね。
マグネシウムを摂るための食べものは?
マグネシウムを摂るための食べものでおすすめなものは『あおさ』です。
たこ焼きやお好み焼の上に乗っかっているふりかけの青のりのようなヤツです。
100gあたりのマグネシウム含有量は3200mgということなのですが、10g食べれば充分にマグネシウム量を補うことができます。
ただし、スーパーとかであおさを10gと言うとビニール袋1袋分とかになってしまいます。
なので、他にもマグネシウムが含まれている、納豆やアーモンド、落花生(ピーナッツ)などをバランス良く食べることです。
ひとつの提案なのですが、あおさも含めて、煮干しや干しエビなどを混ぜて、すり鉢で細かくすりつぶしてふりかけをオリジナルで作ってみてはいかがでしょうか。
分量は、お好みで良いのですが、そういった常備食を用意しておいて、
普段から何を食べる場合でも、ちょっとだけふりかけたりしながら食べるようにしておくことで
カルシウムと一緒にマグネシウムも摂ることができます。
では、次にビタミンDとカルシウムの関係を見て行きましょう。
カルシウムとビタミンDの関係
カルシウムとビタミンDの関係もマグネシウムと似たところがあるようです。
カルシウムを効率よく吸収して、尚且つ骨や歯に定着させるにはビタミンDが不可欠なんだそうです。
つまり、妊婦さんが骨粗しょう症から自分自身や赤ちゃんを守って行くにはマグネシウムと同時にビタミンDも摂って行かないとダメなんですね。
普通は、ビタミンDは体内で太陽光(紫外線を含む)を肌に浴びることによって生成されます。
ですが、普段から紫外線を常に浴びるというのは、女性にとっては勇気が必要なことのように思います。
また、生活環境によっても太陽光を体中に浴びるのが難しい場合もあるかと思います。
例えば、夜勤の仕事をされている看護師さんとか、仕事上絶対に日焼けをすることができないモデルさんなども含まれるかと思います。
そういった方の場合は、ビタミンDを食事から摂ることになるのですが、ビタミンDは2種類が存在していてビタミンD2とビタミンD3の2つです。
シンプルに分けると・・・
- ビタミンD2は植物性
- ビタミンD3は動物性
このように分けることができます。
そして、この2つの食材なのですが、妊娠中はできれば植物性のビタミンD2をメインに摂ったほうが良いと言えます。
もちろん、動物性のビタミンD3も必要なのですが、どちらかと言えば植物性のビタミンD2をメインにしたほうが良いというイメージです。
その理由は、動物性の牛レバーや豚レバー(ビタミンD3は動物の肝臓に豊富に含まれている)はビタミンA(レチノール)も大量に含まれているため
妊娠中は、赤ちゃんの口蓋裂や水頭症などの先天性障害に結びついてしまう危険性があるんです。
そのため、妊娠中は牛や豚、鶏などのレバーはあまりおすすめ出来ません。
では、どんな食材で動物性のビタミンDを摂ったら良いの?という疑問ですが、これのおすすめが『タタミいわし』なんです。
タタミいわしは、ビタミンAをほとんど含んでいないのに、ビタミンD3やビタミンB12を豊富に含んでいて、ビタミンDの働きでカルシウムの吸収と骨への定着を助けてくれます。
さらにビタミンB12は妊娠中にたくさん摂りたい葉酸(ビタミンB9)と一緒にママ身体の血を作る作用があります。
ただし、ひとつだけ注意したい点が、カロリーが100gあたりで380カロリー前後とそれなりに高カロリーな食べものなので、
あまり食べ過ぎてしまうのも良くないと言えます。
タタミいわしを妊娠中に食べて良い量としては1日あたり50g前後が良いと言えます。
妊娠中の骨粗しょう症とミネラル摂取のまとめ
ここまで、妊娠中のカルシウム摂取と骨粗しょう症について主に栄養素の観点から見てきましたがいかがでしたか?
骨と歯と言えばカルシウムをしっかり摂ることが大事ということは多くの方がご存じの通りですが
ただ、カルシウムだけを摂っていれば良いというものではなかったんですね。
シンプルに言うと、カルシウムだけではなくマグネシウムとビタミンDを一緒に摂ることが大事で、
そういったカルシウムの働きや吸収も助けてくれるミネラルと一緒に摂ることで、健康的に妊娠生活を送ることができるんですね♪